「抹茶椀で繋がる国と国」 清水焼 加藤邦紀さんへインタビュー
初めまして!インターン生のジャーウンです!
私はコロナ禍の二年の間に陶芸が趣味になり、更に日本の陶器の悠久な歴史とお茶の関係性について興味を持ち、私たちおぶぶが取り扱っている茶碗を作った陶芸の職人をインタビューすることにしました。
今回インタビューさせていただいた方は、加藤邦起さんです。
加藤邦起さんは如水陶画苑の三代目の作陶職人であり、京焼という京都から伝わってきた陶器を専念しており、岐阜県の土岐市を拠点に活躍し、安政時代 (1854-1860) から代々作陶を続けている家系の一つです。加藤さんは現在、京焼の伝統を守りながら、鮮やかな色と金色の紋様を多用するタイのベンジャロン焼きの特徴を陶器に加えた作品を手掛けています。このインタビューを通じて、加藤さんの陶歴を学び、加藤さんと話しながら茶碗の絵付け体験をさせていただきました。
ー 陶芸や絵付けを始めたきっかけはなんでしょうか?
私は代々陶芸や絵付けをする家庭で生まれ育ち、物心をついた頃から陶芸を学び、陶器を作りました。そして祖父と父が陶器を作る様子を見て育ちました。大学卒業後2年間陶芸の釉掛けを1年間学び、それから2年工房で陶磁器の食器作りの練習をしました。また別の工房で1年間、茶碗や茶器について学びました。 29歳になってやっと実家のアトリエに戻りましたが、まだ作品が売れるほどのものとは言えませんでした。商品が売れるまでにさらに時間がかかりました。日中は別の陶器店で働いて、夜は家族の工房で練習をしていました。
ー 家族経営の一員になりたいと常に思っていましたか?
私は家業を継ぎたいと思ったのは十歳の時でした。その時なぜ我々が作った陶器に裏印がないのかを疑問に思いました。両親は私たちは陶芸職人ではなくて絵付師だから、裏印をつけることができないと説明してくれました。だから器に裏印をつけるために、自分たちの陶器を作りたいし、自分で絵付けたいと思ったのです。
加藤氏の父親である加藤如水は茶碗の陶絵付けの名工で流。1967年から作陶をし続けており、何度も賞を受賞している。最近では厚生労働大臣から表彰された。彼は時間と知識を惜しみなく注ぎ、塗装のプロセスがどのようなものかを喜んで私たちに共有してくれた。
加藤氏のアトリエは茶碗に囲まれた。茶碗が置いてある棚の上にはいろいろな色の釉薬がついている。
ー 仕事の一番の楽しみはなんでしょうか。作るのが一番楽しいものはありますか。
お客様のご要望に耳を傾け、何を望んでいるのかを把握し、満足していただける仕事をしたいと考えています。私は茶碗の絵付けや、タイのベンジャロン絵のデザインと日本の陶器の食器を組み合わせるのが好きです。私はアンテナを持っているみたいに、見たものや経験したものからインスピレーションを受けています。例えば、今お店で流行っているもの…美しい桜の景色…自分の体験を作品につなげていきます。タイとベトナムへの旅行では、さらに多くのインスピレーションを得ました。
ー 作陶のモチベーションをどのように維持していますか?
新しいスタイルの焼き物の開発、例えば陶器で伝統と現代のスタイルを融合することで、モチベーションを保っています。私は日本の陶器とその伝統を学び、理解した上で更にタイのベンジャロン陶器を学びました。タイのベンジャロンは京焼とは模様や技法が異なりますが、自然の模様や手作りの一点物を重視する点では似ています。京焼とタイのベンジャロン焼きの融合が実現できるのではないかと思いました。
私は日本の陶磁器にベンジャロン風の絵を加えることを通じて、自分を表現します。ベンジャロン焼きはタイで生まれ、タイの環境や文化の中で多くのタイの職人によって生み出されてきたものだと聞きました。タイの伝統を大切にし、守ることが大切だと思っています。ただタイのデザインを模倣していけないので、タイの職人に絵付けを依頼しています。私は京都ならではの伝統のスタイルを守りながら、トレンドに合わせていきたいと思っています。
ー 伝統的な作法と現代の作法を共同させて、作品を制作するのは難しいと感じますか?
鮮やかな絵柄は京焼の特徴です。それ以外に、京焼には特に制限がないです。京焼は各地の陶器の技術を集結したもので、京都はかつて日本の首都であったことから、さまざまな地域の陶器を集めて販売していたことが背景にあります。この点は、もともと陶器に最適な土(陶土)のある地域とは異なります。ですから京都の焼き物の原点は、さまざまな技法の融合にあるのです。私の工場ではガラス釉薬を使用していますが、他の場所では別の技術を使用しているかもしれません。
茶器とお茶の関係はとても深いですね。
ー 陶芸家として、お茶は加藤さんの作品にどのような影響を与えましたか?
お茶は私の仕事にとって不可欠な存在です。お茶碗を造る人間(人)ですから、そもそもお茶がなければ茶碗は生まれないし、その逆も同じです。お茶がなければ仕事がないですよね。
加藤邦樹の母親、加藤幸子は私たちが釉薬と天然膠を混ぜる作業をしている時に手伝ってくれた。
加藤が使っている天然膠は海藻を熱で溶かして作られています。釉薬と混ぜる粘稠になり、茶碗に塗りやすくなります。
ー タイにスタジオを構えていますが、タイにスタジオを持ちたいと思った理由はありますか?そして、日本とタイとのお茶の文化や茶器の違いはなんだと思いますか?
海外展開は考えていましたが、どこの国に店を開けるとかはまだ決まっていないです。
ある日、どこかの国へ旅に出てその国のことをもっと学ぼうとしたんです。タイのバンコク行きの航空券は一番お手頃だったから、バンコクを選びました。機内にはタイのガイドブックがあって、そこにはタイの陶器の写真がありました。いろいろ調べてみると、タイの陶器ベンジャロンについて学ぶためにはタイのチェンマイに行かなかればならないことがわかりました。これがきっかけで私はチェンマイへ何度も行くようになりました。その時にはタイの上流階級の方が常に私の陶器ワークショップに来てくれました。タイと日本のお客様と話す時間は限られていましたが、タイのお客様は日本の文化、お茶、さらには花についてもよくご存じだったと思います。
ー 日本の陶芸業界はどのように進化していると思いますか?
商品自体はあまり変わっていないのですが、茶器を売る方法が少しずつ変わってきていると思います。今はお客様に茶器の使い方の説明に力を入れています。茶器はただ棚に展示されるものだけでなく、お茶の試飲会でも使われています。茶碗には四季がどのように反映されているかなど、茶器に込められた意味を説明すると、より良く売れると思います。
ー 将来の夢は何ですか?
いつかタイ、ベトナム、日本など活動している国でたくさんの人が陶芸を習いに来てくれる人がいればいいなぁと思います。
貴重なお時間や陶芸についての知識を共有してくださった加藤さんやご家族に深く感謝申し上げます。
Thank you Saya-chan (Intern #132) for translating, Sarah (Intern #146) for taking photographs and Jean (Intern #107 and now Assistant Manager) for notetaking and of course, all three of you for being great companions! I can’t wait to see how our chawans will turn out 🙂 (2023年4月16日インタビュー)
加藤さんの紹介Webサイトはこちらから!
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