おぶぶについて

水によって与えるお茶の味や色の影響についてPart4.ソラン・デ・カブラス&サントリー天然水(鳥取産)

こんにちは!

今週のティーポテトです!

(注釈)このブログはインターン生パトリック(#136)による記事を翻訳しています。英語の原文はこちら!パトリック独自の味の表現がたくさん出てきますので、ぜひパトリックの世界観を楽しんでください!

(図1.水今日実験する2つの水(ソラン・デ・カブラスとサントリー天然水)

今回の水は特別なものを用意しました!

サントリーの天然水ではありません。もちろんサントリーの水も素晴らしいんです。(このブログでは日本の水ばかり扱っていますよね。)

しかし今回は、スペインのクエンカ産のソラン・デ・カブラスという、綺麗な青色のボトルに入ったスペイン産の水がここに!!実はスペインの水を使うのは初めてです!これは近所のスーパーで見つけました。

もちろんサントリーの水も特別なんですよ。日本滞在中に参加したお茶会のほとんどで、サントリーのペットボトルの水を使われていることに気がつきました!

この2つの素晴らしい水のおかげで、今回の実験に良い光が差してきたと思います。

サイエンスコーナー

見てくださいこのミネラルの含有量!

(図2.水実験に使用した8つの水のミネラル含有量)

おいおいちょっと待てよ、サントリーさんどうしたんだ?!

サントリーのミネラル含有量は一見わかりにくいですが、今回調査した水の中で最も正確に記載されていると思われます。キリンが13mg/Lのカルシウムを含んでいると記載しているのには、少しばかり正確すぎる気がしますが。。

(図3.水は、さまざまな理由で一年を通して変化します。湧き水の採取方法とは異なるが、正確な例えである)

ナチュラルミネラルウォーターは自然から生まれたものです。時期、雨量、さらには森林伐採によってもミネラルの含有量が変化することがあって、インドのモンスーン雨期には、流出水に含まれる炭酸塩の量が増加するという研究結果もあります。

“流出量が多いときは、水の滞留時間が短く、炭酸塩とケイ酸塩由来のイオンの割合が増加する原因となる。一方、乾季には、水の滞留時間が長くなり、炭酸塩に比べ、ケイ酸塩の溶解の割合が多くなる。” (Tipper, 2006)(ティッパー、2006年)

流出量が多くなるとより多くの水が流れ、ミネラル成分が変化するのは理にかなっていますね。

雨が降った直後の川のミネラル分は、数週間雨が降らなかった後の川のミネラル分とは大きく異なります。帯水層、湧水、地表水、それぞれ異なる影響を受けますがすべて影響を受けるのです。

つまり企業が水を採取する時期によって、水のミネラル含有量が決まるということですね。もちろん採取する度にラベルをチェックし、印刷し直すわけにはいかないので、一般的には1つの数字を記載することになっていると思います。だからサントリーの方がよりキリンのミネラル表記と比べると、平均的で正確な数値を記載している言えると私は考えました。

天候によってミネラル成分が変化するのはペットボトルの水だけでなく、水道水や井戸水も同じように変化します。井戸水や水道水を使っている人が、いつも飲んでいるお茶の味が変わったと感じることがあれば、それは天候によって水の成分が変化したのかもしれません!🔍

それでは実際に2つの水でお茶を淹れていきます!

大地の煎茶


(図4.左がサントリー天然水で抽出した大地の煎茶、右がソラン・デ・カブラで抽出したもの)

ソラン・デ・カブラスで淹れた大地の煎茶は、明るくしかし沈むような植物の香りを醸し出し、口の中に香りが強く入ってきてすぐに消えていきました。最低限の旨味はあり、そこにうま味が存在すると主張するには十分、ですがそのくらいです。しかし、後方にある野菜の風味と旨味の後には、息の長い花のようなほんの少し渋みのあるノートが生じました。

サントリーの水で淹れた方は、バックエンドのフローラルな香りを前面に出し、明るく高揚させてくれる。ほのかで心地よい苦味がフローラルノートをより高く、より長く持ち上げるのに役立っている感じです。またタンポポのような明るい植物的な香りもある。サントリーは苦味と同レベルに近いところで旨みをさらに引き出してくれました。

琥珀のほうじ茶

(図5.左はサントリーウォーターで仕込んだのほうじ茶、右はソラン・デ・カブラで仕込んだほうじ茶)

う〜ん、甘い。ソラン・デ・カブラスで淹れたほうじ茶は、キャラメルのような甘いクルミの香りがする。しかし、キャラメルの風味のほとんどはすぐに消えてしまい、甘さが残りました。この甘さはお茶の温度が冷めるとさらに強くなり、これまでのほうじ茶の実験では現れなかった味になりました!

サントリーの水はどうでしょうか?こちらは前回のアクアパンナと同じように、香りの強い仕上がりになっています。火の香ばしい香りとアンティーク家具を思わせる豊かな味わい。苦味や渋味はなく、非常になめらかな味わいです。

松葉和紅茶

(図6.左がサントリーウォーターで仕込んだ松葉和紅茶、右がソラン・デ・カブラで仕込んだ松葉和紅茶)

ソラン・デ・カブラスは、ドングリ・スカッシュと干し草の香りが相反するように生まれ、両者が互いにけん制し合っていました。干し草の香りが先に来て、その後にドングリ・スカッシュが入ってきて、風味が行ったり来たりしてあまり気持ちのいいものではありません。(前回使用したくじゅうのミネラルウォーターも、うま味と苦味が交互に現れていたこともあり、不思議な感覚です。)後味もかなり長く残ります。でも苦味はまったくありません。

サントリーの水にもドングリ・スカッシュと干し草の香りがありましたが、こちらは味の対立していない。干し草の香りは軽いが強く、風味の外側にわずかにカボチャの香りが現れました。滑らかで果物の香りがあることに納得です。フルーツノートがあるとは思わないが、想像するに十分近い感じです。そして干し草の香りに混じって青唐辛子の香りもある。(翻訳者:🫑どんなのかな〜?)

ごこう抹茶

(図7.左はサントリーウォーターで淹れたごこう抹茶、右はソラン・デ・カブラで淹れたごこう抹茶)

ソラン・デ・カブラスのごこう抹茶は非常になめらかで、淡白でした。苦味も渋味もないです。岩のようなミネラルと氷砂糖のような甘みが感じられますが、そのような味もすぐに消えてしまいます。全体として、非常にシンプルな抹茶でした。

サントリーの水は、ソラン・デ・カブラスで淹れた時よりもずっと良い味わいでした。茶葉の香りが少し長く続き、後味に少し苦味が加わっている感じです。抹茶独自の味は濃く感じられましたが、すべての上に粉砂糖のような優しい甘さがありました。そしてこのフルーティーな香りは他の水ではなかなか感じられなかったものです。

(図8.これまでのカラーチャート(水・お茶全8種比較)

今回の疑問と質問

ということで、第4回の実験はこれにて終わりです。

さて今回も疑問と質問で終わりたいと思います。

質問1:全ての飲料水会社は、サントリーのようなラベル表示をするべきだと思いますか?

8種類の水と4種類のお茶、合計32種類のお茶を飲み比べたわけですが、これがまた…結構な量になりました。

以前にも書きましたが、もう一度強調したいことは(おそらく次回も)この実験の意図は、4つのお茶に「最適な」水を見つけることではありません。あくまで私の意見であり、それぞれの水が私の興味を掻き立てるものであることは明らかなんです。

今回ソラン・デ・カブラスで淹れた松葉和紅茶は、私はあまり好きではありませんでした。でも好きな人は好きかもしれません。

私は、淹れる水でお茶の味がどれだけ変わるかを知りたいだけなんです。

そして最後にもう1つの水をテストすることになります。このテストを通して登場していない水、それが最も重要な水となる可能性があると思っています。

質問2:さてそれはどの水だと思いますか???

水の実験Part1:エビアン&キリンミネラルウォーター(静岡県産)

水の実験Part2:クリスタルガイザー&温泉水98(鹿児島県産)

水の実験Part3:アクアパンナ(イタリア産)&ナチュラルミネラルウォーター(大分県産)

水の実験Part4:ソラン・デ・カブラスとサントリー&サントリー天然水(鳥取産)

水の実験Part5:和束の井戸水

あとがき

最後までご覧いただきありがとうございます!

パトリックの水の実験は非常に興味深く、私たち茶農家でも気づかなかった視点や表現力を用いて新たな発見をさせてくれます!同じお茶でも水の違いでここまで色や味に変化が現れるということが皆さんも少し感じていただけたでしょうか?

皆さんも様々な方法でお茶を楽しんでみてくださいね!

最後にパトリックが使う水はなんでしょうか?ぜひイメージしてみてください!💧

今回パトリックが実験で使用したお茶は全ておぶぶのショップリストから購入することができますのでご覧ください!パトリックのようにその地域にしかない天然水でお茶を淹れ、味の飲み比べをしてみても面白いかもしれません☺️

その際は、私たちおぶぶスタッフに感想を教えてくれると嬉しいです!

参考文献

Tipper, Edward T., Mike J. Bickle, Albert Galy, A. Joshua West, Catherine Pomiès, and Hazel J. Chapman.「炭酸塩と珪酸塩の風化フラックスの短期的な気候変動への影響。「The Short Term Climatic Sensitivity of Carbonate and Silicate Weathering Fluxes(炭酸塩とケイ酸塩の風化フラックスの短期気候感度。河川化学の季節的変動からの洞察”.Geochimica Et Cosmochimica Acta 70, no.11 (2006):2737–54. doi:10.1016/J.GCA.2006.03.005.

Wang Q, Qu Y, Robinson K, Bogena H, Graf A, Vereecken H, Tietema A and Bol R (2022) Deforestation alters dissolved organic carbon and sulfate dynamics in a mountainous headwater catchment-A wavelet analysis.Front.For.Glob.Change 5:1044447.論文番号: 10.3389/ffgc.2022.1044447

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