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エピローグ【海外日本茶普及ツアー2017冬】ヨーロッパ5カ国編

エピローグ【海外日本茶普及ツアー2017冬】ヨーロッパ5カ国編

「日本茶を世界へ」のミッションのもと、2006年の開始から13回目になる日本茶普及のワールドティーツアー。

今年は17日間の日程でヨーロッパの5都市をまわり、8つのイベントを開催し、37箇所の日本茶が置いてあるカフェやスーパーマーケットなどをめぐりました。

そしてインターン卒業生や現地でお茶のお店や学校をやっている人たちにたくさんお会いしました。

今年のワールドティーツアーの目玉としては、シモナが著す1冊目の日本茶の本である英語での日本茶のガイドブックがアマゾンから出版されたこと、ツアー中に国際日本茶協会の設立をこれから進めることを決断できたことが大きかったです。(他にも色々とありますが。)

特に上記の2つは、あとから振り返っても2017年は節目だったよねって言えそうなことです。

まず英語による日本茶のガイドブックですが、実は未だに日本茶関連で海外で一番読まれている本は、岡倉天心の「茶の本」です。それはそれですばらしいことですが、100年以上前の本が日本茶の本として一番読まれているという状況は、それ以降、日本茶に関する包括的なガイドブックが存在していなかったことも大きかったと思われます。

そして今回、シモナが約7ヶ月ほどかけて、来日からの5年間の経験を元に書いたのがこちらの本でした。

価格的にもだれにでも手に取ってもらえるように件の「茶の本」と同じ金額にしてあります。
(「茶の本」は版権が切れているらしく、とても安いのも一番読まれている理由のひとつのようです。)

今後、この本が海外で日本茶を興味を持った人にとって、気軽に手に取れる本になっていったらうれしいです。

もう一つの今回の大きな前進は、国際日本茶協会の設立に向けた動きです。

2012年より始まったおぶぶでの国際インターン制度の卒業生は70名を超え、今後毎年16人ずつ新たなる卒業生を生み出してゆけるようになりました。

そしてその卒業生の約2割は、日本茶やお茶関係の仕事をすでに始めており、今後のお茶業界を担う大切な人材です。

しかしながら、現実には、そのような仕事はそれほど多いわけでも安定しているわけでもなく、始めたくてもなかなか始められないのも現実です。

一方、日本国内をみると日本茶は消費が下がっている現実があり、急須のない家も若い世代を中心に増えています。

また海外では、抹茶を筆頭に日本茶の人気は高まってきており、海外の茶産地で日本茶が生産されるケースも増えてきました。

ちなみにパリのお茶に詳しい方にお聞きしたお話ですが、この11月にケニア産の抹茶のファーストバッチがフランスに到着したそうです。

またフレーバーティーに使われる緑茶は、主に中国産の煎茶が使われています。

そのような現実を鑑みると日本茶が好きな人、日本茶に関わる人を集めるネットワークが必要なのではないかと強く思うようになりました。

そしてそのような活動をしている組織があるのかと調べてみたのですが、茶業関連の組織は10くらいは見つけることができたのですが、英語のウェブサイトも無いところが多く、また海外に向けて日本茶の情報を積極的に発信し、ネットワークを構築してゆこうという組織を見つけることができませんでした。

一茶園が「国際茶園協会」という組織を立ち上げて、世界中の日本茶好きを組織してゆこうという試みは、野心的すぎるのかもしれません。

しかしすでにドイツやスペインでは、現地でそのような活動をしたい!と言ってくれている子たちもおり、今後どのように進んでゆくにせよ、とにかく立ち上げてみるのが面白いのではないかと思っております。

まだ詳細をお知らせする段階にありませんが、来年中には、アイデアを固めて、資金調達もしながら、設立し、運営していきたいと思います。

いずれにせよ、今年のユーロツアーでの気づきは、「日本茶を世界へ」伝える活動は、僕たちが自らをして行なうだけの時期は終わったようです。

現地に住まう日本茶好きを育てて、ネットワークを作り、その人達自らが日本茶の魅力を伝えてくれる段階にあるようです。

そのようなことをしたい!またはもう始めている人に今回は特にたくさんお会いしました。

ですので今後はそのような人たちをサポートできるような体制を作ってゆきたいと思います。

これからが楽しみですね。

来年は、ヨーロッパだけでなくアメリカでも、国際日本茶協会の活動が進められたらと思っております。

今回のユーロツアーに関わって下さった多くの皆さま、本当にありがとうございました。

目次【海外日本茶普及ツアー2017冬】ヨーロッパ5カ国編
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この記事を書いたおぶぶメンバー-Author Profile

松本 靖治
松本 靖治
シングルオリジンの荒茶(あらちゃ)の魅力、そして喜多をはじめ茶産地・和束に生き、茶に命をかける人々の情熱に感激し、おぶぶの立ち上げより参画。

まだ世界に知られていない、日本茶の魅力を世界に伝えるべく、文字どおり世界じゅうを駆けめぐる多忙な日々を送る。

おぶぶの伝道師。日本茶インストラクター第7期。1974年、奈良出身。
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