2017年冬

小さなお茶会inパティスリー朋(tomo)【海外日本茶普及ツアー2017冬】ヨーロッパ5カ国編

小さなお茶会inパティスリー朋(tomo)【海外日本茶普及ツアー2017冬】ヨーロッパ5カ国編

この日は、パリ2区にあるパティスリー朋(とも)にて、小さなお茶会を開催させていただきました。このパティスリー朋は、日本人とフランス人のパテシエが共同経営するケーキ屋さんでして、昨年オープンしたばかりとのことでした。

パリは22の地区に分かれていて、2区は、パリ発祥のセーヌ川に浮かぶシテ島にも隣接しており、日本人やアジア人が多い地区として有名です。周りには、ラーメン屋も数軒あり、他にも日本食レストランはたくさんある地域です。

こちらでのお茶会は、フランス人でお茶が大好きなセシルさんがオーガナイズしてくださいました。

お茶会には、マダガスカル出身の日本好きの女性ボラティナさんやペルーの首都リマでお茶屋さんを始めたばかりのメイさん、ベルリンから会計事務所の会社のコンサルティングに来ているミハエルさん、そしてパリ在住の方たちなど、パリらしく多様な人が来てくださいました。

ロンドンのUKティーアカデミーで出会ったアルゼンチン・パタゴニアでお茶屋さんを始めるジョアンナさんもそうですが、ヨーロッパに限らず、地球の果てなんではないかと思えるような(パタゴニアは南極の隣ですし、マダガスカルはアフリカの島ですから。そんなこというと日本も似たようなものですが。)場所でもお茶を飲みたい、飲ませたいと思ってくれる人がいるのはうれしいですよね。

世界はまだまだ広いなあと実感します。

そして今回のパリ滞在中の三日間には13箇所の日本茶を扱うカフェやスーパーマーケットなどを訪れました。(今回のユーロツアー全体では、37箇所のカフェなどを回った。)

パリには、世界中の人と物が集まっており、日本茶を扱う店といっても色々なタイプがあり、大変勉強になりました。

これはヨーロッパ全体(少なくとも今回訪問した5都市)に言えることですが、お茶の人気が上がってきているとは言え、やはりコーヒーの文化が強いようです。

またお茶といってもフレーバーティーが主役で、どのお店も売上の6割から9割はフレーバーティーとのこと。

パリには、マリアージュ・フレールを筆頭にフレーバーティーの名店がありますから、ことクリスマス前の11月は、どのお店もフレーバーティーの販売とその準備に余念がありませんでした。

しかしながら、一部のお茶好きの人たち(基本的にそういう人とばかり会ってるのですが。つまり偏ってると思う。)は、日本のお茶好きと同様、フレーバーティーではなく、いわゆる普通のお茶(こちらではピュアティーとかナチュラルティーと呼ばれている)が大好きで、その背景にある文化や収穫できる茶畑について、熱心に知りたいと思ってくれています。

例えば、お茶が大好きで5年前にサンジェルマン(パリの高級エリア)でお茶屋産を始めたアルノさんは、表千家の茶道を15歳からやっており、お茶の木をパリ郊外に植え、お茶の本を書き、5つ星ホテルにお茶を卸しているとのことです。

アルノさんのケースは、かなり特別なケースではありますが、今回のユーロツアーでは、こういう方々に多数お会いすることができました。

またパレデテというパリ発でフランス中に支店を持つお茶屋さんがあるのですが、そこでは週六回お茶の授業をやっていて、その授業に毎回10名ほどの方が参加しているとのこと。それが年間40週程度行われているとのことで、単純計算でも年間のべ2千人以上の人がお茶について学んでいるとのことです。

それを聞くとまだまだお茶の世界は、どんどん広がっているんだなあと実感します。

そして今回、そのパレデテから独立し、お茶の香りの学校を始めたカリネさんともお話する機会を得ました。カリネさんは、香水のパフューマー(香りをテストし、香水を設計する人)で、その後パレデテで14年以上、お茶の香りについて教えたり、お茶を選別したりしていたそうです。そのカリネさんが2年前に独立し、香りの学校(特にお茶の香りに特化した)を立ち上げました。

日本茶の世界では、お茶の審査は、減点法で行われるのが基本ですので、カリネさんの登場により、もっと私的で美しい香りの表現を日本茶にもたらすことができるかもしれません。

カリネさんいわく、香りは言葉と同じで1000以上のボキャブラリーがあり、それを学ぶことによって表現できることは無限にあるとのことでした。

僕のこれまでの考えでは、日本茶における香りは、審査をするための受動的なものが基本だと思いますが、逆に日本茶の香りで能動的な体験をもっと提供できるのかもしれません。(非常に抽象的で申し訳ありません。)

来年9月には、パリでカリネさんと一緒に日本茶の香りのセミナーを開催予定です。

こちらもかなり意欲的な取り組みで今から楽しみです!

また余談ですが、僕たちがパリ滞在中には、お茶の京都の事業で、京都からも数名来られていました。

新聞記事はこちら。

ニアミスでお会いすることはできなかったのですが、日本茶を世界へ伝える取り組みがどんどん加速しているようでうれしい限りです!

今回、パリの街を案内してくれた、ルイーズさん、カリネさん、一緒にワインを楽しんでくれたリカさん、お茶会をオーガナイズしてくれたセシルさん、そしてパティスリー朋のマーロンさん、集まってくださった皆さま、本当にありがとうございました。

目次【海外日本茶普及ツアー2017冬】ヨーロッパ5カ国編
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この記事を書いたおぶぶメンバー-Author Profile

松本 靖治
松本 靖治
シングルオリジンの荒茶(あらちゃ)の魅力、そして喜多をはじめ茶産地・和束に生き、茶に命をかける人々の情熱に感激し、おぶぶの立ち上げより参画。

まだ世界に知られていない、日本茶の魅力を世界に伝えるべく、文字どおり世界じゅうを駆けめぐる多忙な日々を送る。

おぶぶの伝道師。日本茶インストラクター第7期。1974年、奈良出身。
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